不動産売却で委任状を作成するときの注意点とは?委任の仕組みを解説します!
不動産の売却は、基本的にその所有者本人が行う必要があります。
しかし、やむを得ない事情から所有者本人が売却を進められないというケースもあるでしょう。
そこで用いられるのが、「委任」という仕組みです。
今回は、不動産売却における委任の仕組みと、委任状作成に必要な準備物などをご紹介します。
□不動産売却の「委任」とは?
委任とは、不動産売却に必要なさまざまな行為を、第三者に委託する形態のことです。
委任された人のことを「代理人」と呼びます。
代理人は、所有者本人に代わって、所有者本人と購入希望者に意思表示をする役割を担います。
委任は、以下のようなケースで用いられます。
1つ目は、不動産が遠方にあったり、所有者本人が高齢者であったりするケースです。
所有者が海外に住んでいたり、足腰が弱くて移動できなかったりする場合、その不動産の近くに住む親族などに委任できます。
2つ目は、売却に時間が割けないケースです。
不動産売却は、さまざまな手続きを要します。
また、内覧の際には自分自身も物件を訪れなくてはならず、日中働いている方にとっては思うように時間が割けません。
他にも、長期的に入院・治療中という方も、時間の確保が難しいでしょう。
3つ目は、所有者が複数人いるケースです。
ご両親からの相続により、兄弟複数人で不動産を所有している場合や、夫婦で共同名義にしている場合が挙げられます。
売却の手続きの際には、所有者全員が立ち合う必要があります。
全員が日程を合わせて集まるのが難しかったり、夫婦が離婚していたりするケースで委任を用いることがあります。
4つ目は、所有者が19歳以下であるケースです。
相続の関係で、未成年の方が不動産の所有者になっていることがあります。
未成年者は不動産を売却することができないため、代理人に委託することになります。
このケースでは、親権者か未成年後見人が代理人になることが多いです。
□委任状作成に必要な準備
まず、委任状に必要な項目について把握しておきましょう。
不動産売却の委任状には、以下の項目が必要になります。
・代理人の氏名・住所の記載
・「不動産売買契約締結の権限を代理人に委任する」という旨を表す文章
・売却する不動産の表示項目(土地の場合、所在、番地、地積など/建物の場合、所在、家屋番号、構造、床面積など)
・委任の範囲
・委任状の有効期限
・委任状の日付
・委任者の氏名・住所・署名・押印(実印)
・代理人の氏名・住所・署名・押印(実印)
これらが、委任状に必要な必須項目になります。
次に、委任に必要な準備物を見ていきます。
まず、実印を準備しましょう。
実印は、役所に登録されている印鑑です。
もし実印をお持ちでない方は、委任状を作成する前に役所で印鑑登録することをおすすめします。
次に、添付書類を準備しましょう。
委任状に効力を発生させるためには、委任者本人と代理人がそれぞれ書類を準備する必要があります。
委任者本人は、印鑑証明書、実印、住民票の写しが必要です。
代理人は、印鑑証明書、実印、本人確認ができる身分証明書が必要です。
印鑑証明書と住民票の写しは、取得してから3ヶ月が有効期限ですので注意してください。
□不動産売却の委任状作成の注意点について
ここまでは、委任状を作成するための必要項目と準備物についてご紹介しました。
では、不動産売却の委任状を作成する際、どのようなことに注意しなければならないのでしょうか。
*信頼できる人に委任すること
代理人には、法定代理人と任意代理人の2つが存在します。
法定代理人とは、法律で定められている代理人に委任するケースです。
例えば、未成年の子供が不動産の所有者の場合、法律で定められている代理人である親権者が代理人になります。
一方、法定代理人以外はすべて任意代理人です。
不動産売却の場合の代理人は、この任意代理人であり、基本的には誰でも委託を受けたら代理人になれます。
だからこそ、本当に信頼できる人物なのかの見極めがとても重要になります。
例えば、購入希望者から値下げ交渉があった場合、代理人は所有者本人の許可なく値下げに応じることができます。
また、売買契約のために本人の印鑑証明書などは代理人に預けます。
個人情報を渡すことになるため、十分に検討した上で委任するようにしましょう。
*代理人を立てることを買主に伝えること
不動産売買にはお互いへの信頼感が大切になります。
そのため、買主に不信感を抱かせないためにも、事前に代理人に委任することを伝えておきましょう。
*物件情報の記載は正確に
委任状には、不動産の情報を記載する必要があります。
登記簿謄本に記載されている情報を正しく記載するようにしましょう。
登記簿謄本に記載がある住所と、普段使っている住所が異なっているケースもあります。
作成し直しにならないよう、事前に必ず確認しておきましょう。
□まとめ
今回は、不動産売却における委任の仕組みと、委任状を作成するための準備物などをご紹介しました。
初めて委任状を作成される場合は、戸惑うことが多いと思います。
不動産売却について疑問や不安があれば、いつでも当社までご相談くださいね。